労働者派遣業を許可を得ずに営んではいけません
1,はじめに
SEとして客先に出ている同期から、ピンハネされる側でなく、ピンハネをする側になりたいという愚痴を聞きました。
つまりは、労働者を派遣する事業を営みたいということでしょう。
しかし、派遣切りなどに代表される社会情勢から、我が国は、労働者派遣業に対して規制をかけています。
今回は、それについて語らさせて頂きます。
2,なぜ派遣労働者が存在するのか
(1)経営者目線で派遣労働者を考える
経営をする側の立場で考えると、派遣労働者はとても便利な存在です。
例えば、労働者が経営陣に反旗を翻してきたので、社内の秩序を回復できる鎮圧能力を持った労働者が必要になったとします。
しかし、そういう高度な専門性を持つ労働者が社内にいなかったり、育成していなかったり等、色々な事情があるはずです。
そういう時に、外部から一定期間だけその能力を持つ人を借りることが出来る。
とても便利ですね。
一定期間だけ外部から労働者を連れてきて仕事をしてもらえるなら、
自社で人を抱えなくてよくね!?
っていうか、正社員いらなくね!?
案件が片付けば、派遣労働者の面倒を見る必要もありません。
このように、労働者派遣を利用する柄には、社内にない能力やスキルを持った人を、必要な時に必要な分だけ使用できるというメリットがあります。
従量課金制の通信プランみたいなだな・・・
働かない労働者に賃金払いたくないぜ!!
派遣なら使えない人が来たら派遣会社に文句言って別な人を手配してもらえるし、自社に人いらないぜ!!
(2)労働者目線で考えると・・・?
しかし、経営者の立場ではなく、労働者の立場から派遣業を見ると様々な不利益があります。
君もご存知の通り、派遣切りなど、雇用の継続性や安定性が低いといわれます。
(あ)職業的能力
労働者は年数とともに職業的能力を向上させ、成長していきます。
しかし、関わる仕事がころころ変わってしまうと、職業的能力をなかなか伸ばせません。
すると、正社員などに比べて職業的な能力に差が生じます。
とはいえ、多様な能力を身に付けられる機会として捉える強者がいるため、あくまでも、一般論です。
仕事をする中で人は成長するんだ!!
誰でもできる定型的・画一的な事をしていて未来はあるの?
お前の仕事、AIでできるぜwwwwww
お前、くびなwww
(い)雇用の継続性
私たちは仕事をする中で、3年後にはこうなりたいなど、自分の将来を考えることもあるでしょう。
あこがれの先輩。尊敬できる上司。頼れる同期。
ボクモショウライハ尊敬サレル先輩ニナル・・・
これも一般論ですが、雇用の継続性がないといわれます。
一度しかない人生だからこそ、自分の道は、自分で切り開く。
3,労働者派遣法
(1)社会正義の名のもとに
日本国民の民意が社会正義の名のもとに 1つの規範を形作る。
我々は、もう二度と、派遣労働者が一方的に搾取される事を許さない。
そう。我々は悪質な経営者に、労働者派遣法を突き付ける。
この法律は、職業安定法と相まつて労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的とする。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第1条
っは、正義?何それwwww
正義で飯が食えるなら食ってみろよ
理念のない生き方は動物でもできる。
(2)どのような規制を派遣会社に課すのか
(あ)労働者派遣業の許可制
我々は、我々の代表者が1人たる厚生労働大臣の許可を得ずに 「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」を行う者・組織を認めない(同法2条1号,2条3号,同法5条,同法59条)。
我々は、厚生労働大臣の許可を得ずに労働者派遣業を行う者・組織を、「
一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」(同法59条2号)。
厚生労働大臣の許可を得ずに労働者派遣を業として行ってはいけません。
ちなみに、労働者派遣業の許可の申請書はこんな感じです。
労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル- |厚生労働省
申請書を書く際の数値には君も含まれているんだよ。
(い)派遣可能期間
派遣労働者を無限に使い続ける悪質な経営者が出てこないように、派遣労働者を使用できる期間には定めがあります。
第40条の2 第2項 前項の派遣可能期間(以下「派遣可能期間」という。)は、三年とする。
労働者派遣法 第40条の2第2項
しかし、この定めには例外があります。
第40条の2 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない。ただし、当該労働者派遣が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、この限りでない。
労働者派遣法 第40条の2第1項及び同項第1号
一 無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣
ここでいう、「無期雇用派遣労働者」とは期間の定めのない労働契約を派遣元と締結している労働者の事を言います。
そして、1年や2年といった期間の定めのない労働契約を締結している労働者のことを、我々は、正社員と呼びます。
すなわち、派遣会社に正社員として雇われた労働者は、3年を超えて客先に常駐することが出来ます。
SE派遣の場合、派遣元のSE会社の正社員(無期雇用者)であるため、3年を超えても40条の2での問題は通常は生じません。
そうか。正社員なら無限に使い倒すことが出来るのか。
(う)その他もろもろ
解雇を勝手にしないように、とか待遇向上とか様々な規定もあります。
しかし、筆者が眠くなってきたので、今日はここまで。
4,おわりに
とりあえず、労働者派遣をするときは、厚生労働大臣の許可がいるので、お忘れなく。
あと、経営が傾いたときに組織の為に全力をかけてくれるのは、正社員ではないでしょうか?
何でもかんでも派遣にしないで 、誰が組織を守るのかを、悪質な経営者の皆様は、一度考えてみてもいいのかもしれません。
いや、正社員だって会社が傾いたら転職するで、普通
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