Debian 10 (buster)から11 (bullseye)へアップグレードした

0,目次

  1. 初めに
  2. 事前準備
    1. 現状のバージョン確認
    2. パッケージの状態確認
    3. パッケージ取得元の変更
  3. アップグレード
  4. 終わりに
  5. 参考文献

1,初めに

本サイトはDebian 10 (buster)上でWordPress等を動かしています。

2021年8月14日にDebian 11(bullseye)が公開されました。

Debian -- Debian "bullseye" Release Information

そこで、Debian 10.10からDebian 11へのアップグレードを行いました。

本稿ではその作業手順等を記載します。

2,事前準備

(1) 現状のバージョン確認

Debian 11は10系からのみ、アップグレードが保証されています。

4.2.1. Debian 10 (buster) からのアップグレード

10 (buster) より古い Debian のリリースからの直接のアップグレードはサポートしていません。

第4章 Debian 10 (buster) からのアップグレード

そこで、まず、現状のバージョンを確認します。

下記コマンドを発行します。

cat /etc/debian_version

当環境での実行結果は下記の通りでした。

root:~# cat /etc/debian_version
10.10

(2) パッケージの状態確認

アップグレードの前に、既存のパッケージの状態を確認します。

4.2.11. パッケージの状態をチェックする

アップグレードの方法に関係なく、まず全パッケージの状態を調べ、全パッケージがアップグレード可能な状態にあるのを確認することをお勧めします。

第4章 Debian 10 (buster) からのアップグレード

これは、アップグレード中のコンフリクトなどの発生を抑制するための手順です。

下記のコマンドを実行します。

dpkg --audit

当環境での実行結果は下記の通りでした。

root:~# dpkg --audit
root:~#

(3) パッケージ取得元の変更

Debianのアップグレードはいくつかの方法で行うことが可能です。

例えば、DVD等に書き込まれたアップグレード用のモジュールを使用する方法などがあります。

一番簡単なのは、パッケージ管理システムを用いてのアップグレードと思われます。

そこで、パッケージの取得元をDebian 10系のところから、11系へ変更します。

4.3. APT source-list ファイルの準備

アップグレードを始める前に、APT の source-list ファイル (/etc/apt/sources.list および /etc/apt/sources.list.d/以下のファイル) にbullseyeを追加し、busterを削除する必要があります。

APT は、あらゆる 「deb」 行を通して見つかったすべてのパッケージを見比べ、最も大きなバージョン番号のパッケージをインストールします。同じパッケージが取得可能な場合は、ファイルで最初に現れた行を優先します (したがって、複数のミラーを指定する場合は、最初にローカルのハードディスクを、次に CD-ROM を、最後にリモートミラーを指定すると良いでしょう)。

第4章 Debian 10 (buster) からのアップグレード

まず、現状の設定を確認します。

root:/etc/apt# pwd
/etc/apt
root:/etc/apt# cat sources.list
deb http://httpredir.debian.org/debian/ buster main
deb-src http://httpredir.debian.org/debian/ buster main

deb http://security.debian.org/debian-security buster/updates main
deb-src http://security.debian.org/debian-security buster/updates main

# stretch-updates, previously known as 'volatile'
deb http://httpredir.debian.org/debian/ buster-updates main
deb-src http://httpredir.debian.org/debian/ buster-updates main
root:/etc/apt#

あ、過去の作業の形跡がありました。

この環境Debian 9(stretch)からアップグレードしたやつでしたね。

Debianを9(stretch)から10(buster)にアップグレードする

それはさておき、

上記ファイルの「buster」の個所を「bullseye」へ置き換えます。

下記コマンドを発行します。

sed -i -e 's/buster/bullseye/' /etc/apt/sources.list

当環境では下記の実行結果となりました。

root:/etc/apt# sed -i -e 's/buster/bullseye/' /etc/apt/sources.list
root:/etc/apt# cat sources.list
deb http://httpredir.debian.org/debian/ bullseye main
deb-src http://httpredir.debian.org/debian/ bullseye main

deb http://security.debian.org/debian-security bullseye/updates main
deb-src http://security.debian.org/debian-security bullseye/updates main

# stretch-updates, previously known as 'volatile'
deb http://httpredir.debian.org/debian/ bullseye-updates main
deb-src http://httpredir.debian.org/debian/ bullseye-updates main
root:/etc/apt#

これでAPTのsource-listファイルの準備が完了しました。

3,アップグレード

下記3つのコマンドを上から順に実行します。

apt update
apt upgrade --without-new-pkgs
apt full-upgrade

アップグレード完了後は下記のような状態となります。

root:~# cat /etc/debian_version 
11.0
root:~# 

以上にて、Debianのアップグレードは完了です。

4,終わりに

作業の途中に過去のアップグレード時の痕跡がありました。

このサーバとも長い付き合いだなと思います。

現時点でサーバを構築するならば、AWS lightsail等の強力なクラウドインフラかと思います。

とはいえ、過去に構築済みのVPSも捨てない限りは生き続けているのだなと思いました。

↑さも問題やトラブルがなく作業完了したかのようにふるまっていますが、トラブルありました。

まず、初回アップデート時、起動時のLoading inital ramdiskが30分以上待っても終わらず。

スナップショットから戻し再度インストールを試みた2回目は、アップグレード後、MySQL(MariaDB)が消えました(マジで原因謎です)。

上記を踏まえ、3回目。コマンドなどは全く同じで、とりあえず問題なく更新がされました。

あと、Debian 11は10系と異なり、PHP7.3が消え、7.4になります(nginxのPHPの再設定が必要でした)。

これらの経験から、下記の教訓を得ました。

Debian 10系は普通に安定しているので、あえてわざわざ11へアップグレードを急いで行う必要性は現状、大きくはないのではないと思います。

それよりも11系がある程度安定するまでしばらく待った方がよいと思います。

5,参考文献

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