ゼミ合宿の思い出 その2

前回の記事の続きです。

24時間ぶっ続け憲法授業が始まる

先述の通りゼミ合宿の目玉企画の一つである二十四時間憲法耐久レースが始まる。参加者18名はこのレースを駆け抜ける。夕食を終え授業が始まる。しかしルームメイト2名が姿を見せない。どちらも卒論の作成に追われているようだ。授業形式は、教授が名簿からランダムに学生を選び、選ばれた者が教授の質問に答える形式で授業は進んでいった。

第1のテーマ:フラッシュモブと表現の自由(憲法21条)

初めの授業のテーマは公共性の高い表現環境下でのフラッシュモブ行為に対して、ある市を行った規制行為について、その根拠規定である条例と処分の二つに分けて憲法解釈を行うものであった。このテーマの議論が進む中で、条例の目的に照らして妥当な規制行為であるのか否か、そしてそもそもフラッシュモブは条例が規制しようとしている行為なのかなどを憲法論、行政法論などから検討がなされていった。

基本的な議論の骨格は次のようなものであった。

規制処分について

  1. 【権利保障がなされるかを検討】まず、一定の場所で静止するという表現活動であるフラッシュモブ行為は、情報の流通を保障する表現の自由の保護範囲に含まれる行為である(憲法21条)。
  2. 【表現の場の憲法上の価値を検討】そして、今回問題となった場は、公園や道路等に類似する公共性の高い公の施設(地方自治法244条)であり、人がその意見等の表現を広く世論に問うための表現の場として高い価値を有するため、行政の管理権行使に一定の制限がかかる(パブリック・フォーラム論)。
  3. 【規範作成】また、規制条例の立法目的は公共の安全確保であるが、フラッシュモブのように人が静止する表現活動により公共の害悪が発生する可能性は、人数が相当でる限り通常は生じ得ないものであり、条例が鎮圧しようとしている活動には通常は該当しない。
  4. 【あてはめ】本件表現活動は公共性の高い場所においてなされており、かつ、人数は少数であり条例が保護している公共の安全を害する可能性は低い。
  5. 【結論】したがって、市の規制活動は条例の解釈適用を誤り、かつ憲法が保障する基本的価値観に対して挑戦する行為である。

根拠条例について

  1. 規制の根拠となる条例は文言において「集会」と規定しそれを原則禁止をするとのシステムをとっている。
  2. 表現の自由から導かれる集会を為す自由は人々の自由な意見交換を行う場として高い民主主義的価値を有する。
  3. また、本件フラッシュモブはインターネットを活用して人々が集まったものであり、インターネット上のコミュニティにも集会の自由の趣旨が及ぶといえる。
  4. こうした民主主義的な高い価値を有する集会を一切の例外を許さず、一律禁止とする本件条例は違憲である。
  5. だが、広島市暴走族追放条例事件判決のように、地方自治体には法律専門職が不足しているのであり多少の不備はやむを得ず、厳格な法律解釈は適さない。
  6. 本件条例は全体を通してみれば危険な集会のみを一律規制しようとしていると読み取ることが出来る。
  7. したがって、危険な集会を厳格な要件の下に禁止とする限りにおいては合憲である(合憲限定解釈)。

こう書くと、とても単純だが、議論の中では吉祥寺駅でのビラ配布事件泉佐野市市民会館事件等の事案処理の骨格として活用できる判例の研究もなされた。

長くなったため、第2のテーマは次の記事にて書きます。

以上

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